ネズミの赤ちゃんがご馳走……具がミミズだけのドロドロスープ……元日本人傭兵が語る「戦場の極限メシ」
https://news.yahoo.co.jp/articles/1de7a96ee54f621a5551edaa688dd2b1bfbbe465

衝撃の食材
 「これは…なんでしょうかね」
 後輩がダカポからスプーンを引き上げる。ダカポとは、米粉を煮込んでニャオティ(カレン族の魚醤。後述)で味付けしたカレン族のスープだ。
発酵臭が結構鼻をつくが、塩気が効いているのは嬉しかった。通常それに食用の葉や野菜、
稀に魚や肉が入っていたが、どろりとしているため何が入っているかはスプーンですくうまでは分からない。
 その時、後輩が引き上げたスプーンからは、気味の悪い細長い物がぶら下がっていた。
 「ミミズや、ミミズ!」
 その場にいた数人の日本人兵士が大騒ぎになった。「うげっ、俺もう飲んじゃったよ」と顔をしかめる者、
ペッペッと唾を吐き出す者。ちょっとしたパニックになった。
 1992年、ミャンマー・ワンカーキャンプ。その時キャンプは敵に完全包囲され、1ヶ月以上に渡り完全に補給が断たれていた。
包囲が長引くにつれ食料事情は悪化し、たった1袋の即席ラーメンを5〜6人で分けるような状態に。そしてそれすら乏しくなると、
我々は戦闘しながら食材の確保もしなければならなくなった。運が良ければコウモリやネズミが手に入ったが、大抵は具なしのダカポのみ。
稀に手に入るネズミの赤ちゃんでも丸ごと入っていればご馳走だった。
 そんな状況の中で出てきたのが、このミミズだった。しかしいくら当時の我々がゲテモノを食べ慣れていたとはいえ、
ミミズはさすがにハードルが高かった。食事当番の少年兵を呼び、現地語しか理解できない彼にミミズを指差し、
片言のカレン語を交えながら必死に「NO、NO」と伝える。ミミズ入れるくらいなら具なしで構わない…と。
 翌日。いつもと変わらぬダカポをひとすくい。細長いものはない。一瞬安堵したが、よく見ると何やら小さな肉片が…。
細かく刻んだミミズだった。NOしか理解できなかった少年兵は、誰かが思わず手でお願いポーズしたのを
「細かく刻んでくれ」と言っていると誤解したのだった。
 「エキスが出るやろうが!!」
 関西出身の戦友が、日本語で思わず発した突っ込みは今でも笑い話だ。