2014年のロシアによるクリミア半島併合で、それまでの主要8カ国首脳会議(G8サミット)がロシアが外れて主要7カ国首脳会議(G7サミット)になるわけだが、前年のG8サミットでは、シリア内戦問題がテーマだった。

 シリアのアサド政権を倒すよう動くというのがG7のおおむね一致した見解だったが、ロシアのプーチン氏だけが「アサドを倒して、テロリストに政権を譲ってどうするんだ。現実的に考えよう」と呼びかけた。

 政権を倒したところでシリアは混乱するだけで解決にならない。それは世界の歴史が教えるところで、アサドに停戦を呼びかける方にシフトすべきだとが主張した。そして安倍氏はプーチン氏と同じ考えだった。そこから安倍氏とプーチン氏の関係は始まる。

 当時のオバマ米大統領は、「アサド政権は化学兵器を使った。日本が武力支援ができないのは分かるが、反政府軍へ、日本も何らかの支援を考えて欲しい」と迫る。だが、安倍氏は「じゃあ、アサドが化学兵器を使っている証拠を見せてくれ」とはっきり言い返した。米国は結局、見せられなかった。