「スキヤキ」以来、約60年ぶりに米ビルボード「トップ10」の快挙...動画界から世界的な音楽家へ転身したJojiとは何者か?

昨年、日本でほぼ注目を集めないままある大記録が更新された。

シンガーソングライター・Joji(ジョージ)のピアノバラード「グリンプス・オブ・アス」が坂本九の「スキヤキ」以来、日本人ソロミュージシャンとして約60年ぶりに米ビルボードチャートでトップ10入りしたのだ。

アメリカを拠点に世界で勝負するJojiの曲の詞は当然英語。だが彼は大阪出身で、18歳まで神戸のインターナショナルスクールで過ごし、日本が故郷だと公言するオーストラリア系の日本人でもある。

欧米の音楽シーンで今、最も人気のミュージシャンの1人で、今夏は大規模な世界ツアーの最中にある彼はどのような人物なのか。

1992年生まれのJojiが世に最初に出たのは、今でいうYouTuberとしてだった。特に知られているのは、曲に合わせて踊り狂う世界的な流行現象「ハーレム・シェイク」の基となる動画を2013年に投稿したこと。

過激なお笑いと自作ラップなどの活動は熱狂的支持を集め、最後の投稿から5年たった今でもYouTubeのチャンネルには約800万人の登録者が残る。

だがそこから音楽家への転身はスムーズではなかった。ネット上でコミカルなキャラクターを演じ続けるプレッシャーを一因とするストレス性の発作を告白し、動画投稿から引退。

17年頃から「お笑い」時代とは一線を画すシリアスで内省的な作風の音楽活動を本格化させる。そしてアジア系のミュージシャンが集まる米レーベル88risingへの所属から快進撃が始まった。

18年にアルバム『Ballads1』が米ビルボードのヒップホップ/R&B部門でアジア人として初の1位を獲得。これまで発表したJoji名義の3枚のアルバムはいずれもヒットし、音楽配信サービスでの累計再生回数は120億回を超える。

「悲しく、扇情的」と本人が語るR&B などをベースにした現在のスタイルと、過去のひょうきんな顔。「矛盾した人間」と自己分析するなかには表現者としての引き出しがまだ多く眠っていることを予感させる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/75e170bc59232ebdd4dba13a0ad62a5c48c368b4