ドコモ回線、品質低下の一因は“通信技術”か
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c793a5db9b74ebc6fa03c21b763ad0a7b748123

 先週末に東京ビッグサイトで開催された「コミケ」。
 
 個人的には「各キャリアのネットワーク品質は大丈夫かな」という心配をしながら、SNSをチェックしていた。案の定、NTTドコモのネットワーク品質がすこぶる不評なのがわかった。ダウンロード速度をチェックするアプリのキャプチャ画面が何枚も上がっており、NTTドコモのネットワークは「10年前の速度かと思った」と揶揄されているほどであった。
 
 ただ、昔と違ってネットで簡単にサブ回線を調達できるということもあり、楽天モバイルやpovoの回線で、しのいだ人も多いようだ。
 
 NTTドコモのネットワーク品質に関しては、今年に入って「ターミナル駅周辺で遅い」と指摘されていた。同社では4月に「この夏までに対策する」と発表。先日、基地局にあるアンテナの角度や出力、指向性などの調整などをして、都内の新宿、渋谷、池袋、新橋において、概ね、ネットワーク品質が改善しているとの発表があった。
 
 ネットワーク品質が低下している点について、NTTドコモでは「コロナが明け、トラフィックが増加するタイミングを見誤った」としているが、コロナ禍が明け、トラフィックが増えたのはKDDIやソフトバンクも同じことだ。
 
 この2社のネットワークが特段、低下していることはなく、NTTドコモだけが品質が落ちている点について、業界内では「Massive MIMOがあまり導入されていないからではないか」と指摘する声がある。

 Massive MIMOに関してはエリクソンやファーウェイなど海外の基地局ベンダーが積極的に展開している。そうした海外ベンダーとの取引が多いソフトバンクやKDDIなどで採用が多いため、結果として安定したネットワーク品質を実現できているようだ。一方で、NTTドコモは国内ベンダーが中心であるため、自ずとMassive MIMOの導入が遅れ、いまのネットワーク品質の低下につながっている感がある。
 
 エリクソンによれば、ミリ波に関しては100%の割合でMassive MIMOが導入されているが、Sub6という飛びやすい電波に関しては27%に留まっている。また、海外と比べると、中国、韓国、台湾ではMassive MIMOの導入割合が70%以上、特に中国では100%に近い状態にあるにも関わらず、日本では10%しかないのだ。世界的に見ると、日本は「Massive MIMO後進国」となってしまっている。