ブレた「5G施策」がタイミングのずれを招いたか
そうすると、課題はNTTドコモの無線ネットワークにあるということになる。

NTTドコモ側は「トラフィック対策の軸足を『瞬速5G』に置いていた」と説明する。

NTTドコモは当初、5Gについて、5G専用の帯域である3.7GHz帯や4.5GHz帯中心でのエリア展開を考えていた。4Gからの転用帯域ではなく専用で効率よく使える帯域が重要と考えていたのだ。

これは間違った考え方ではないと思う。ただ、5Gの「エリア」だけでいうと、遠くまで届きにくい周波数帯での展開は不利でもある。「ドコモの5Gはエリアが狭い」という印象がついてしまったため、2022年春からは4G帯域を転用した5Gも使うようになった。

国も「デジタル田園都市国家構想」を打ち出し、各社に5Gの「広いエリア展開」を期待するようになり、ドコモとしては戦略を変えざるを得なかったところもある。

結果として、高い帯域の5Gへ逃すためのネットワーク構築よりも、より多くの人が使う帯域に4G・5G両方が使われる形になってしまい、結局通信品質が落ちた……ということだと推測できる。ドコモのいう「読み違い」とは、5Gへ逃すための設備投資の時期がずれてしまい、結局のところ、カバーしきれなくなったのだ。
https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/nishida/1522072.html