日本の研究力強化に向け、政府はこの夏、全国の大学教員らを対象にアンケートを進めている。研究環境改善のため、研究以外の雑務が日々どの程度負担になっているかを問う内容だ。ところが、アンケートのあまりの分量の多さに「逆に負担が増えた」と研究者側から悲鳴が上がる事態に。「本末転倒」の元凶は?
「途中でギブアップ」
内閣府は5月末、全国約30の国公私立大に協力を依頼し、教員らに質問票を配った。タイトルは「大学の評価疲れ申請疲れに対する方策に関するアンケート」。調査は任意で、表計算ソフト「エクセル」に記入する。大学ごとに回答を取りまとめ、内閣府は秋ごろまでに結果を集約するという。
調査の目的を、内閣府は「我が国の研究力低迷、研究者という職業の魅力低下への危機感から策定した支援策のフォローアップの一環」と説明している。
ところが、質問票が配られた直後から、SNS(ネット交流サービス)上で批判的な声が上がり始めた。
「途中でギブアップ」
「手続きの負担についてのアンケートが14枚って皮肉がききすぎていてつらい」
「負担の把握のために浴びせかけられる負担」
調査の分量が多く、回答すること自体が負担という意見が大半だった。
エクセル13枚、質問130超
質問票は、エクセルシート14枚に及ぶ。アンケートの概要や回答方法などを記した表紙を除く13枚に、130を超える質問項目が並ぶ。
質問内容は、国の研究支援制度に対する意見や、学内の人事評価や学生の論文評価などの負担感(5段階評価)、学外業務として無償で行う論文の査読の負担感など。
また、国の審査を経て支給される科学研究費補助金(科研費)などを利用している場合、申請書や報告書の提出が必要かどうかや、それらに伴う負担感を、該当する研究プロジェクト一つ一つに回答するよう求めている。
関東地方のある国立大教授は「こういうアンケートを作る時点で、問題の本質が分かっていない」と手厳しい。
※略※
https://mainichi.jp/articles/20230812/k00/00m/040/013000c