Quantum Energy Research Centreの研究者グループは、LK-99の電気抵抗率が「0.02オーム・センチメートル」から「0.002オーム・センチメートル」へと急激に低下する温度があると主張していました。これについて、硫化銅の専門家であるイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の化学者プラシャント・ジェイン氏は、「これはCu2S(硫化第一銅)が相転移する温度です」と指摘しています。この温度以下になると、空気に触れたCu2Sの電気抵抗率は急激に低下するのですが、研究者グループはこの事実を見逃していたわけです。

なお、中国科学院の再現実験によると、LK-99を真空中で合成した場合のCu2S含有率が5%であるのに対して、空気中で合成した場合のCu2S含有率は70%となるそうです。Cu2S含有率5%のLK-99の場合、電気抵抗率は温度の変化と共に比較的滑らかに変化しますが、Cu2S含有率70%のLK-99の場合、電気抵抗率は112度付近で急激に低下することが確認されています。

また、LK-99から不純物を取り除くという研究も行われていますが、不純物が取り除かれたLK-99は超伝導体ではなく数百万オームの抵抗値を持つ絶縁体であることが明らかになっています。不純物を取り除いた純粋なLK-99はわずかな強磁性と反磁性を示すものの、部分的な浮遊を再現するには不十分だそうです。

https://gigazine.net/news/20230817-lk-99-not-superconductor/