雄マウスのiPS細胞から卵子 世界初、受精させて子も誕生

https://www.at-s.com/sp/news/article/national/1208648.html

林教授は「男性同士や、性染色体に異常があるターナー症候群の女性が子どもを持つ治療につながる可能性がある」と話した。ただ、人ではiPS細胞から卵子を作製した例はなく、マウスに比べて研究に時間がかかるとしている。
 人やマウスの性別を決める性染色体にはXとYの二つがあり、雄は「XとY」、雌は「XとX」の組み合わせ。林教授らは、雄のY染色体が時間とともに消滅することがあることに着目した。大人の雄マウスの細胞からiPS細胞を作り、培養してY染色体が消えた細胞を抽出。特殊な化合物で処理してX染色体を二つ持つ細胞を作った。
 さらに卵子に変化させ、別の雄マウスの精子と受精。受精卵を雌マウスの子宮に移植した。630個の受精卵で試し、7匹の子が生まれた。子は通常通りに成長し、生殖能力もあった。
 Y染色体を減らすなどした技術は、一部の染色体が余分にあることで起きるダウン症の病態解明に役立つ可能性もあるという。林教授らは論文を英科学誌ネイチャーに投稿。別の専門家らが内容を精査している。