世界遺産の天皇陵は「ピラミッドに巨木生えた状態」 スーパー台風で高まる損傷リスク
https://www.sankei.com/article/20230809-OGSR6JDK7NJT3ATRBYEAB33YO4/
国内最大の仁徳天皇陵古墳(堺市)など、都市部に広がる世界文化遺産の百舌鳥(もず)・古市古墳群。樹木に覆われた姿は緑のオアシスとして市民に潤いを与える一方で、ひとたび台風があれば倒木で墳丘が損傷するリスクはあまり知られていない。「陵墓は、ピラミッドに巨木が生えたような状態。保存には今、手を打たないといけない」と研究者は危惧する。台風6号は沖縄を中心に人的被害をもたらし、今後も大型台風の襲来が懸念される。災害対策は、人々の暮らし、文化遺産などさまざまな方面で喫緊の課題となっている。

平成30年9月に近畿地方を直撃した台風21号。タンカーが関西国際空港の連絡橋に衝突するなど甚大な被害を及ぼし、両古墳群の陵墓なども倒木被害が相次いだ。仁徳天皇陵古墳(墳丘長486メートル)や国内3番目に大きい履中(りちゅう)天皇陵古墳(同、365メートル)などでは倒れた木の根が持ち上がって円筒埴輪などがむき出しになった。

近年は地球温暖化の影響もあって大型台風の発生も増え、倒木被害がますます懸念される。「古墳にとってよくない時代が来ている」。福永伸哉・大阪大大学院教授は危機感を募らせる。