東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、岸田文雄首相は21日午後、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長と面会する。岸田首相は22日に関係閣僚会議を開き、放出の開始時期を決める意向。それまでに安全性確保と風評被害対策を徹底する方針を伝えることで理解を得たい考えだが、全漁連側は反対の姿勢を崩さないとみられる。

 全漁連は今年6月、放出に「反対であることはいささかも変わらない」とする特別決議を採択。7月に西村康稔経済産業相と会談した際も、坂本氏が「反対の立場は変わっていない」と伝えている。

 漁業者には、処理水放出に伴う風評被害への懸念が根強い。政府は風評被害対策に300億円、漁業継続の支援に500億円の基金を設けたが、放出に反対する中国が日本産海産物に対する輸入規制を強化しており、生産現場では影響が出始めている。

 処理水の海洋放出を巡っては、政府と東電が2015年、福島県漁業協同組合連合会と「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」とする約束を交わしており、漁業関係者の理解が放出の条件となっている。

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