https://www.uhb.jp/news/single.html?id=37189

 情報統制の成果なのか、それともモスクワの地域性なのか…。大半の市民はウクライナへの侵攻に無関心だ。ロシアの内政と社会情勢に詳しい日本の研究者は匿名を条件にこう説明する。

「ロシアでは、政権批判は拘束につながる。正義感を出したところで世の中は変わらないし、目先の利益(自分の生活)を優先する人が多いため、夏を謳歌(おうか)するしかない」

 モスクワは冬の日照時間が1日1時間もない日があるが、夏のピークは午後10時を過ぎても日が沈まない。目抜き通りの飲食店は、いたるところにテラスを設ける。マチ全体が浮かれているように見える。

 「冬は真っ暗なのよ。私たちは、私たちの暮らしを楽しんでる。戦争なんて関係ないわよ。今、楽しまないで、いつ楽しむのよ」

会社員の30代の女性は、ウクライナに近いロシア南部でつくられた赤ワインをグラスに注ぎ、飲み干した。