東京電力・福島第一原発の処理水の放出が24日から始まっていますが、これに反発している中国は日本の水産品の輸入を「全面禁止」とし、その影響が広がっています。

放出開始から一夜明け、東京電力の小早川社長は福島県内の自治体を訪問しました。25日午前9時ごろに南相馬市の市長と会い「今後も最大限の緊張感を持って対応する」と話していました。これに対して市長は、風評被害対策などを求めた要望書を手渡しました。

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■中国側が「政治のカード」として利用か…東電の“企業体質”が反発の口実にも
なぜ中国がここまで反発するのか。まず前提としてハッキリしていることですが、日本政府は「中国の主張は科学的根拠がない」と明言しています。SNSでの偽情報などにも目を光らせています。
いろいろ理由はあるのでしょうが1つには、中国側が政治のカードとして利用しようという面もあると予想されます。

実は中国も痛いところを突いてきていて、「日本側のデータは改ざんや隠ぺいの常習犯である東京電力のものだ。日本側が『処理水』と呼ぶ核汚染水が安全だという説は、どうすれば国際社会を納得させることができるだろうか」と3月21日の外交部会見で疑問を呈しています。

長年にわたる東電の企業体質が、反発の理由になる「口実」を与えてしまった形です。

しかし、処理水の放出については東電だけでなく、原子力規制委員会やIAEA(=国際原子力機関)も安全に行われているか、モニタリングデータに異常がないかチェックし続けています。様々なレベルで信頼性については担保しようとしています。

事故から12年たって始まった処理水の放出は、原発の廃炉と地域の復興に向けた、極めて長いプロセスの一環です。今もたれているという最大限の緊張感を数十年にわたって維持しつつ、正しいモニタリングと誠実なデータの公開を続けていくことが問われています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/91ec43ee5e9536b5b199672a17d8381c215d2237