農家「減収避けられぬ」 インボイス巡るJTの「通告」に公取委注意(朝日新聞デジタル)
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10月に始まるインボイス(適格請求書)制度をめぐり、日本たばこ産業(JT、東京)が葉タバコの生産農家に一方的に取引価格の引き下げを通告したとして、公正取引委員会から注意を受けていたことがわかった。制度後に予想される消費税の負担増を農家側に転嫁しようとしたとみられる。JTは引き下げ幅を小さくするなど修正したが、減収が避けられない農家側からは待遇の改善を求める声が上がっている。

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JTはたばこ事業法に基づき、国内農家が生産した葉タバコを全量、買い取っている。現在は買い取り価格に含まれる消費税分を自らの納税額から控除できるが、インボイス制度が始まると、農家側からインボイスを受け取らなければ控除できなくなり、負担が増す。インボイスは商品の販売先に対し、適用した税率や税額を伝えるための請求書などを指す。

ただ、インボイスを発行できるのは消費税の納税義務のある「課税事業者」だけだ。現状、タバコ農家の多くは年間売り上げが1千万円以下で納税が免除された「免税事業者」。課税事業者にならなければ、インボイスを発行できない。

岩手県二戸市の葉タバコ農家が加入する二戸農民組合によると、JTは昨年末以降、岩手県たばこ耕作組合を通じて農家に「インボイス登録をしない免税農家には消費税額分を除いた税抜き価格で支払う」と価格引き下げを伝えた。

関係者によると、公取委はJTによる価格引き下げの通告が一方的だったことを問題視。仕入れ先が免税事業者でも一定割合で税控除を認める経過措置が計6年は取られるのに、控除可能な部分も含めて大幅に価格の引き下げを求めた点も含めて独占禁止法上、問題につながるおそれがあると判断して注意に踏み切った模様だ。