【8月27日 東方新報】お茶のイメージが強い中国が、コーヒー消費大国へと変化している。

 北京市朝陽区(Chaoyang)の商業中心地・CBDエリアで8月3日、本場コーヒーのPRイベントが行われた。朝陽区には北京市内の50%のカフェが集まり、人口1万人あたりの店舗数はニューヨークや東京などと同水準。「珈琲之城(コーヒーシティー)」を名乗り、街づくりの柱としている。中でもCBDエリアには700店舗近いカフェがある。

 イベントには、ブラジル、インドネシア、コロンビア、ルワンダ、東ティモール、エチオピア、パナマ、ホンジュラスなど世界各地のコーヒーが集結。原産国の在中国外交官も出席し、自国のコーヒーをPRした。コーヒーの品評会やラテアートパフォーマンスも行われ、会場はにぎわいを見せた。

 2022年の中国におけるコーヒーおよびコーヒー製品の輸出入は23万トンで、貿易総額は93億4600万元(約1874億4618万円)に達している。「2023年中国都市コーヒー発展リポート」によると、中国で最もカフェの多い上海市では8530店舗が営業しており、店舗数は世界一となっている。

 中国の街角には多くの茶館があり、銘茶をゆったりと味わうのが伝統的な風習だ。近年は急激な経済成長が進み、人々の生活リズムも速くなるにつれて、都市部の20〜40代のホワイトカラーを中心にコーヒー文化が広がってきた。

 全国に100店舗以上を展開する企業は2022年で28社を数える。米スターバックス(Starbucks)やカナダ発のティム・ホートンズ(Tim Hortons)といった海外勢から、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、Luckin coffee)とManner Coffeeなど新興の中国企業も数多い。郵便局やスポーツメーカーなど他業種からの参入も相次いでいる。個人経営の店も増えており、ゆっくり読書を楽しむカフェ、「狭さ」を売りにした店、数週間ごとに移動を繰り返す店舗など多士済々だ。

 中国最大級のプラットフォーム「美団(Meituan)」によると、2022年の中国のコーヒー産業は2007億元(約4兆円)に上り、2025年には3693億元(約7兆4068億円)にまで成長する見通しだ。

 それでも、中国人の年間平均コーヒー消費量は2023年で10.8杯程度の見込みで、先進国の数十分の一程度。コーヒー文化は大都市を中心としており、地方にはまだ浸透していないためだ。逆に言えば中国はまだ多くの「伸びしろ」があるといえ、多くのコーヒーチェーンが地方都市に進出し、都市部から故郷に帰ってカフェを起業する若者も増えている。新興コーヒー大国は今後も成長を続けていきそうだ。(c)東方新報/AFPBB News


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