自身、イルカウォッチングを営む田口京重・天草宝島観光協会副会長は「危険な運転が目立つ。お客さんが嫌がるし、衝突の恐れもある。自主ルールやマナーを守ってほしい」とこぼす。イルカとの間に割り込んできた水上バイクが船に接触しかけ、船のほうが慌てて避けることもある。素潜り漁の漁師のそばを猛スピードで通過することもあったという。
ただ水上バイクの危険な運転は、取り締まりが難しいのが現状だ。熊本海上保安部によると、制限速度はなく、船への接近も違法ではない。担当者は「スピードを出しすぎないよう指導することしかできない」と打ち明ける。
天草市は昨年、水上バイクの運航を規制しようと条例の制定を検討した。しかし「安全に運転している人も一緒に規制していいのか」との懸念が浮上。イルカが現れる海域は広い上、県境で自治体をまたぐことも課題となって見送った。
市観光振興課は「マリンスポーツも観光手段であり、排除したくはない。安全に楽しんでもらえるよう啓発したい」とし、水上バイクのメーカーや販売店を通してのチラシ配布を検討している。
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