裾野署員、覚醒剤使用疑い 1カ月で3人逮捕の静岡県警「前代未聞」 身上把握や教養の徹底へ
2023.8.1
静岡県警の現役警察官の逮捕が相次いでいる。30日深夜、覚醒剤取締法違反の疑いで裾野署地域課の警部補の男(44)=函南町間宮=が県警に逮捕された。7月の1カ月間に逮捕されたのは3人に上り、監察課によると、過去10年で初という。逮捕容疑は異なり、特に公務中の制服での窃盗行為は組織内に衝撃を与えた。県警は緊急会議も開き、不祥事根絶へ「より実効的な対策を進める」と強調しているが、所属部門や署ごとの状況に応じた身上把握や教養などの徹底が求められそうだ。
容疑者の逮捕容疑は7月中旬ごろから30日までの間に、覚醒剤を使用した疑い。監察課によると、容疑者は7月上旬から休職中で「覚醒剤を使用したことは間違いない」と容疑を認めている。
女性宅に侵入したとして、7月14日に住居侵入の疑いで逮捕された三島署刑事課の警部補(36)は、主に刑事部門を歩んできたという。本来は犯人逮捕に生かすべき知識などを悪用した可能性はあるが、近隣では同様の被害は把握されておらず不特定多数を狙った行為ではないとみられる。
制服を着て1人で白バイ乗務中、店舗駐車場に止まった車内から現金17万円などが入ったバッグを盗んだとして、22日に窃盗の疑いで逮捕されたのは交通機動隊の巡査部長(41)。無施錠の車から盗み、逮捕される前に証拠隠滅を図った可能性もある。
警察幹部の一人は「いずれの違法行為も前代未聞。特に公務中、制服で及んだ行為は『魔が差した』では済まない。県民に全く説明がつかない」と唇をかむ。
その他、高速隊所属だった40代の男性警部補(依願退職済み)は24日、車販売のディーラーから警察官に転職した経歴を悪用して無許可で中古車を売買したなどとして、古物営業法違反の疑いで書類送検された。
相次ぐ不祥事で懸念されるのは治安への影響だ。逮捕者2人が出た時点で開いた25日の緊急会議。大原光博本部長は「まじめに取り組む職員の誇りと士気を失いかねない」と危機感をあらわにした。刑法犯認知件数が今年に入って増加に転じている現状も捉え「不祥事を非としながら、犯罪、事故の抑止のために前を向いて進むべきなのは論をまたない」と各部長・課長や県内28署長らに訴えた。
3人目逮捕を受け31日未明に取材に応じた鈴木光弘首席監察官は「極めて重く受け止めている。より実効的な身上把握対策などさまざまな取り組みを進める」と述べ、8月中旬までに県内全28署などを巡回指導する考えを示した。日吉知洋警務部長は「職員が重ねてこのような事案を引き起こしたことを厳粛に受け止め、県民に深くおわびする」などとコメントした。
休職中に覚醒剤使用 裾野署の警部補逮捕
静岡県警監察課によると、覚醒剤取締法違反の疑いで30日に逮捕された裾野署地域課の警部補の男(44)は同日午後3時半ごろ、上司の同署地域課長に「相談したいことがある」と電話をかけ、「覚醒剤に手を出した」と打ち明けた。所要の捜査を経て同日午後11時5分ごろ、緊急逮捕に至った。
覚醒剤を使った時期は休職に入ってからとみられ「今回が初めて」とも話している。現時点では単独で使用した可能性が高く、県警は入手先などを追及する。
容疑者は2013年から裾野署に所属し、交番勤務が長かった。勤務態度で特段の問題は把握していなかったが、療養を理由に7月上旬から休職に入っていたという。
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1288293.html