ウクライナ軍部隊指揮官“少しずつ前進もロシアは常に兵補充”

ウクライナ南部で反転攻勢の作戦に参加しているウクライナ軍の指揮官がNHKのオンライン取材に応じ、一部の地点では、ロシア軍が構築した第1の防衛線を突破するなど少しずつ前進していると明らかにしました。
その一方で「ロシア側は常に兵力を補充している」と述べて警戒感を示し、ウクライナ側としては消耗をおさえて兵力を温存しながら着実に作戦を進めていくと強調しました。

今月24日、NHKの取材に匿名で応じたのは、ウクライナ軍の「第71独立猟兵旅団」に所属する偵察部隊の指揮官で、この部隊は現在、反転攻勢の焦点となっている南部ザポリージャ州で戦闘に参加しているということです。

指揮官は、部隊の詳しい位置は明かせないとしつつ、前線の状況について「いくつかの地域で成功し、成果が増えている。
ロシア軍の1つ目と2つ目の防衛線の間で戦闘が行われているところもある」と述べ一部の地点では、第1の防衛線を突破するなど、少しずつ前進していると明らかにしました。

ただ、ロシア軍の防御について「地雷が密集している。手薄な部分を探しているところだ」と述べたうえで「ロシア側は常に兵力を補充している」と述べ、ロシア軍は、適宜、兵士を入れ替えるなど戦力を維持、増強しているとして警戒感を示しました。

また「敵は、航空戦力において優勢であるだけでなく電子戦のシステムや無人機においても優位に立っている」として、ウクライナ軍の通信が妨害され、部隊間のコミュニケーションにも問題が生じていると明らかにしました。

一方、ウクライナ軍の戦い方に関して指揮官は、偵察や攻撃の手段として無人機が重要な役割を担っているとして「無人機なしでの作戦は考えられない。ただ、航続時間は20分ほどで機材の損失も激しい」と述べ、一層の無人機の確保が必要だと強調しました。

反転攻勢の遅れを指摘する声もあることについては「ロシア軍のように大きな損失を出すことは受け入れられない。装備をむだにできず、まずは兵士を大切にしなければならない。ことを急ぐことは望ましくない」としたうえで「作戦は必ず成功する」と述べ、
勝利に向けて兵士や装備の消耗をおさえて兵力を温存しながら着実に作戦を進めていくと強調しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230827/k10014175761000.html