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アマゾンの森林伐採、2023年前半で約34%減少 ブラジル政府

ブラジル政府は6日、今年1月の新政権発足からの半年間で、アマゾンの森林伐採が前年同期比で33.6%減少したと発表した。

ブラジル政府の発表によると、熱帯雨林は今年1月から6月にかけて2649平方キロメートル減少した。ジャイル・ボルソナロ前政権下だった前年同時期の3988平方キロメートルより、減少幅は小さくなった。

同政府の衛星データは、第三者によって検証されていない。

1月に大統領に就任したルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ氏は、2030年までに森林伐採や森林開拓を終わらせると公約しいる。
しかし、この目標を達成するには大きな課題が待ち受けている。現政権下で失われたと報告されている熱帯雨林の面積は、米ニューヨーク市の面積の3倍以上の広さだ。

ここ数年で、森林伐採が驚くほど増加している。

アマゾンの熱帯雨林は、世界的な気候変動との戦いにおける極めて重要な緩衝材といえる。

「アマゾンの森林伐採は、着実に減少傾向にある」と、マリナ・シルヴァ環境相は記者団に述べた。

INPEは6月の森林伐採について、前年同期比で41%減少したとしている。

ルラ大統領は、アマゾンの先住民の土地での採掘を推進した、ボルソナロ前大統領の政策を覆すと約束している。

今年初めには、採掘を禁止し、商業的農業を制限する先住民保護区を、新たに6つ定めた。

先住民の指導者たちはこの動きを歓迎しつつ、より多くの地域で保護が必要だと強調した。

森林伐採が減少したとの報告がある一方で、統計では森林火災の増加がみられる。

アマゾンでは6月だけで、3075件の火災が衛星監視で検出された。

多くの火災は、以前に伐採が行われた地域の森林開拓と関連がある。こうした火災は大量の二酸化炭素排出につながっている。

2003年から2010年にも大統領を務めていたルラ氏は、熱帯雨林の保護を目的とした様々なイニシアチブの費用を負担するよう、世界の最も裕福な国々に強く求めている。

森林破壊の状況を監視しているネットワーク「グローバル・フォレスト・ウォッチ」の調査によると、世界中で森林開拓が急増しており、昨年にはスイスの国土面積ほどの熱帯林が失われた。

また昨年にはブラジルを中心に、1分ごとにサッカー場11個分の森林が失われたとしている。

2021年に英スコットランド・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、世界各国の指導者は森林伐採を終わらせると約束した。しかし、その取り組みがかなり横道にそれていることを、「グローバル・フォレスト・ウォッチ」の調査は示唆している。

アマゾンは世界最大の熱帯雨林。その面積の6割は、ブラジル内にある。

多くの樹木が生息していることから、二酸化炭素を吸収し酸素を放出する「地球の肺」とも呼ばれる。