ジャニー氏の性加害は、1950年代から2010年代半ばまでの間にほぼ万遍なく認められた」
故ジャニー喜多川氏の性加害を巡り、ジャニーズ事務所の「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日に発表した調査報告書は、「長期間にわって性被害が繰り返されていた」と認定した。
外部専門家の「再発防止特別チーム」が29日に公表した調査報告書のコピー

外部専門家の「再発防止特別チーム」が29日に公表した調査報告書のコピー
報告書に引用された元Jr.らのヒアリング内容からは、デビューを夢見る少年たちが、絶対的な権力を握るジャニー氏に行為を強要され、沈黙せざるを得なくなっていった様子が浮かび上がる


◆被害者は「少なくとも数百人」か
特別チームは、元Jr.ら被害者23人から性被害についてヒアリングを行った。
報告書は、古くはジャニー氏が20歳頃、事務所設立前の1950年代からあったとし、「2010年代半ばまでの間にほぼ万遍なく存在していたこと」と認定している。
その間の被害者の数は「少なく見積もっても数百人がいるという複数の証言が得られた」としている。
記者会見する「再発防止特別チーム」の林真琴座長ら

記者会見する「再発防止特別チーム」の林真琴座長ら
被害者は特定の少数のJr.ではなく「広範に性加害を行っていた」という。一晩で、合宿所や同じホテルの部屋に宿泊している複数のジャニーズJr.に性加害を行うこともあったという。
◆「拒めば冷遇される」被害者心情につけ込む
「一連の性加害は(中略)、タレントのプロデュースに絶対的な権力を持っていたジャニー氏が、デビューして有名になりたい
(逆に、ジャニー氏の性加害を拒めば冷遇される)という各被害者の心情に付け込んで行っていた」
報告書は、被害者が沈黙せざるを得なくなっていった背景をこう指摘した。
実際に被害者もヒアリングに、ジャニーズJr.の間では「性加害を受けた方が優遇され、拒めば冷遇されるという認識が広がっていた」と証言したという。
「他のジャニーズJr.に性加害のことを話そうとしたところ、『おめでとう』 と言われた」「性加害を受けた後、仕事は明らかに増えた」
「受け入れるのが当たり前で通過儀礼」「『上り詰めていくには積極的にジャニー氏を受け入れないといけないんだ。』という洗脳された状態になった」
性加害の際、ジャニー氏自身から「YOUは選ばれたから、ここにいる」と言われたとの証言もある。
◆幻聴、自殺願望、女性との交際に支障も…
ジャニー氏が被害者に与えた心の傷の深さも、具体的につづられている。
「度重なる幻聴やフラッシュバックで、自殺願望も抱くようになりました」
「毎晩寝るために電気を消すと、足先や、ふくらはぎ、太ももなどをジャニー氏に触られる感触が蘇り、足をこすらないと眠れなくなってしまいました」
「女性と性行為をする際、自分が汚い存在であると心のどこかで思ってしまうようになりました」
中には、「うつ病になった」と語る被害者もいたという。
また調査の過程では、ジャニー氏以外にも、ジャニーズ事務所の社員による性加害があることが確認されたという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/273428