ロシアが旧ソ連時代の1940年、ポーランドの将校ら2万2000人以上を殺害した「カチンの森の虐殺」の事実を否定しはじめた。

今般のウクライナ侵攻でロシアの戦争犯罪が非難されるなか、自国の負の歴史を書き換える意図がある。

◆スターリンらが決定、プーチン氏も認めていたのに

モスクワから400キロのカチンの森には、ポーランド語で刻まれた墓碑と十字架が並ぶ。
 
1943年、ソ連領内まで攻め込んだナチス・ドイツ兵が、地中からポーランド将校の銃殺遺体を発見した。
国際調査団の鑑定で、殺害はナチスの侵攻前と特定され、39年にポーランド東部を併合して将兵らを自国領に連行したソ連の犯行と疑われた。
疑いに対し、ソ連は全面否定し、「ナチスの犯行」と主張した。

だが90年には、最高指導者ゴルバチョフ氏が進めたグラスノスチ(情報公開)の下、内務人民委員部(秘密警察)による集団殺りくだったと初めて認めた。
ソ連崩壊後の92年には、スターリンら指導部が捕虜殺害を決定した事実も公表された。
現大統領のプーチン氏も首相時代の2010年、「事件は正当化できない」と過ちを認めていた。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/273230