>>407
星野くんは本来強打者だが、この日はここまで2三振を喫するなど不振だったのだが
「かれはこの四回目のアット・ボックス(※打席)で、名譽挽回をしてやろうと、ひそかに張りきつていたのだ。こんどは、きつとあたる。なんとなく、そういう予感もしていた。」
「安打が出そうな氣がしてならないのだ。それも、二壘打か三壘打になりそうな氣が、しきりにするのだ。」
という気がしていた

そう思いつつも、一度は監督の指示を承諾して送りバントのつもりで打席に向かったが
「山本(※一塁走者)の張りきつた動作を見ているうちに、星野の打ちたい氣もちが、また、むくむくとあたまをもたげてきた。」
「打てる。きつと打てる。確実にヒットが打てさえすれば、むりにバントをするには及ぶまい。」
と思いなおしてヒッティングに切り替えた

つまり、全部「なんとなく」の直感に従った結果