道徳教材から消える『星野君の二塁打』−自己犠牲は時代おくれか−
https://www.sankei.com/article/20230606-EFKBLNV3UFIOFO6TJS2TCTK2HU/

今年の3月はワールドベースボールクラシック(WBC)の話題で日本中がにぎわい、野球への注目度が上がったようにも感じました。

ところで、小学校の道徳の教科書から『星野君の二塁打』という教材が、令和6年度からなくなるという話があり、いろいろと議論があったことをご存じでしょうか。
『「星野君の二塁打」を読み解く』(功刀俊雄、裄V有吾編著 かもがわ出版)をもとに簡単にあらすじを紹介します。

−ピッチャーで3番打者の星野君は同点で迎えた最終回、監督から、先頭打者を「バントで二塁に送れ」と命じられた。納得はできなかったが、監督の命令にそむくことはできない。
バントのつもりでバッターボックスに入ったが、姿勢を少し変え、二塁打を打った。この一撃が勝利を決定的にし、チームは選手権大会への出場を決めた。

翌日、監督が選手たちを呼んで話した。「僕が監督になったとき、相談してチームの規則を決めた。いったん決めた以上は、厳重に守ってもらう、
チームの作戦として決めたことは、従ってもらわなくてはならないという話もした。だが昨日、僕は疑問を感じる経験をした。僕は、昨日の星野君の二塁打が気になるのだ。チームの統制を乱したことになる」

チームメートが助け舟を出したが駄目だった。「いくら結果が良かったからといって、ルールを破ったという事実に変わりはない。チームの統制を乱した者をそのままにしておくわけにはいかない。僕は今度の大会で星野君の出場を禁止したいと思う」

星野君は涙で光った目を上げて強く答えた。「異存ありません」−