水飲み場に集まりすぎて圧死も…猛暑で比内地鶏1770羽死ぬ
記録的な猛暑が続く中、比内地鶏の産地・秋田県大館市の飼育農家13軒で8月に計1770羽(24日現在)が死んだことが30日、わかった。県内の気温は30日も上昇して大館市で36・2度となるなど、全26観測地点のうち14地点が35度以上の猛暑日を記録しており、同市や県などは農家に注意を呼び掛けている。
同市農政課や県によると、最初の報告があったのは今月10日。同市比内町地区の農家の約880羽が暑さのほか、水飲み場に集まりすぎて圧死してしまったという。JAあきた北・比内地鶏生産部会の飼育農家22軒のうち、半数以上で猛暑の被害が確認された。
比内町地区では、田んぼの中にハウスの鶏舎を建てており、日陰がなかったり、風が通りにくかったりして、地鶏が死ぬケースが目立っている。比内地鶏は出荷するまで160日以上の飼育が求められるが、死んだのは飼育90日以上の地鶏。猛暑のため、体重がなかなか増えない鶏も少なくなく、出荷数は減少しているという。
年間5000羽を出荷している高橋浩司・同生産部会長(63)は鶏舎を遮光ネットで覆ったほか、1棟あたり扇風機4~6台を稼働させ、冷たい水やりを頻繁に行うなど対策に追われている。「7月末頃から異常な暑さが続き、お盆が過ぎても鶏たちは口を開けてグターっと弱っている。何とか猛暑を乗り切りたい。早く気温が下がってほしい」と話す。
比内地鶏は昨夏、大雨被害で約1万6000羽が溺死した。さらにコロナ禍で消費が落ち込んで減産が続くなど、産地ではピンチが続いている。
県や市、JAでは、水飲み場の巡回強化などの暑さ対策を実施することや、圧死防止のため、細かな仕切りを設置するなどして適正な管理密度を保つように呼び掛けている。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230831-OYT1T50015/