ご意見番、司会者、タレント……? そんな肩書はちょっと心外。「私は歌手。『歌手・和田アキ子』が、和田アキ子王国の国王で、あとはみんな部下です」。10代で歌手として芸能界に飛び込んだ和田アキ子は、ヒットを重ねる裏でつらい仕打ちを受けた時期も経て、デビューから55周年を迎えた。「ボロボロ」だという体で、今秋から歌手として最後と銘打ったホールツアーに挑む。
「うちは朝日新聞なんですよ。とくに『天声人語』とか好きで読んでる。でも、ついこの前、夕刊が5時になっても来ないから、遅いって文句言ったところよ」
「私のイメージって、なんかクスリとか平気でやってそうでしょ? でも、意外と新聞に載るような悪いことはしてないんですよ。酒も週に2日は抜いてるし(笑)」
あっけらかんとしゃべりまくるが、ときに繊細な気遣いも透けて見える。少し話すだけで、天性の人たらしの一片がうかがえる。
子どもの頃から、レイ・チャールズやオーティス・レディングといった黒人ソウルシンガーに憧れた。ジャズ喫茶で歌っていたところをスカウトされ、1968年にレコードデビューした。
「大きい女がいなかったからね。(他の歌手から)大きいから近くに寄るな、とか、男か女かわかんないとか、楽屋で『男』がいるから着替えられない、とか言われた。え?どこに男がいるの?と思ったけど、私のことだった。いまの時代では信じられないような差別があった」
(後略