クラクション多用の自動車大国インド クルマ作りで独自の工夫も
国連の推計で人口が中国を抜いて世界一になったインドで、自動車の販売数が急速に増えている。電気自動車(EV)の普及も進む。しかし、運転中、なかばあいさつ代わりに鳴らす「クラクション文化」は変わりそうにない。中には、クラクションに他国の数倍の強度を持たせている自動車メーカーもある。
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インド自動車工業会によると、昨年の国内新車販売台数は472万5472台で、前年比で25・7%も増加。約420万台だった日本を抜いて、初めて中国、米国に次ぐ世界3位に躍り出た。
EVの普及も進み、乗用車だけでなく庶民の足であるオートリキシャ(三輪タクシー)もEVシフトが始まっている。首都ニューデリー近郊に住むスデシュ・クマールさん(45)は昨秋、EVオートリキシャを約20万ルピー(1ルピー=約1.7円)で購入した。1キロ当たりの電気代は2~3ルピーで済み、1日で数百ルピーの儲(もう)けがでるようになった。試しに5分ほど乗せてもらうと、通常のオートリキシャよりも静かで、乗り心地は変わらなかった。
ただ、運転手の習慣は簡単には変わらない。
クマールさんは前方車両を追い抜くときなどに20回以上も「プーププー」という高音を響かせた。一般車もさほど変わらない。
インドでは、車社会の拡大に伴ってクラクションの騒音がたびたび話題になっている。規制を強める地域もあるが、左右を確認せずに曲がろうとする車や逆走するバイクもあり、クラクションで互いの存在を知らせ合うことが欠かせない。クマールさんは「別に怒っているのではなく、あいさつの『やあ』くらいの感覚だ」と言った。
地元自動車メーカー「アショク・レイランド」のサラバナンCTO(最高技術責任者)は「実はインドのクラクションは、他の国の車と比べると3~5倍の強度で作られている。欧州や日本の運転手なら、多くても1時間に3回クラクションを鳴らす程度。インドでは、少なくても1時間に20回は鳴らすからね」と教えてくれた。
https://www.asahi.com/articles/ASR6H6JQGR56UHBI00V.html