海外記者が見た「日本のジャニーズ報道の異常さ」
「弱きを挫き、強きを助ける」歪みまくった構造

レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

温泉のお湯を6カ月間入れ替えなかったことと、50年間何百人もの子どもたちを触ったり、口腔性交したり、肛門性交を強要すること、どちらが重大な罪だろうか。日本のメディアにとって答えは明白のようだ。

日本のテレビ局の幹部らは、今すぐ自分の名刺にこう刷るべきだろう。「弱きを挫き、強きを助ける」。

テレビ局に対して長きにわたって娯楽を提供してきたジャニー喜多川という男が、世界最悪級の連続児童性加害者の1人であったということに対して、日本のジャーナリズムはことごとく「無力」だった。人的、財務的、物質的資源が豊富にあるにもかかわらず。

いずれにせよ、次なるジャニー喜多川や、統一教会の創始者、文鮮明ではないだろう。メディアは不倫をした有名人を容赦なく攻撃する。それなのに、有名人が何百人もの子どもに対して性加害したことはスルーするのか。

発展途上国においては報道の自由が保障されていなかったり報道の質が高くなかったりするために、自国の出来事を理解するために先進国のメディアに頼らざるを得ないことが多い。

これと同じことが日本でも起きた。3月にイギリスのBBCのドキュメンタリー番組で日本語を話せないイギリス人ジャーナリストがジャニー喜多川の行為を暴露したことで、多くの人がようやく実態を把握し、目を背けることができなくなったのだ。
(以下略)
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