関東大震災後、東北の青年も虐殺…知られざる歴史と群集心理

虐殺事件の報道が解禁(10月20日)される前で、「朝鮮人」の言葉はない。ただ自警団が青年に「アイウエオ五十音などを盛んに暗唱」させたとあり、朝鮮人と誤認されたことを示唆している。

 しかし、?末(てんまつ)を記した「妻沼町誌」(77年)によると、単なる誤認ではなかった。当時、妻沼にもデマが浸透していた。町内を歩く見慣れない青年を怪しみ、自警団が尋問すると、「東北弁のこととて言葉が思うように通じない。『朝鮮人だ!』血気にはやる若者が竹槍で右腹を一突」きした。青年は「日本人だ」と必死に抵抗し、派出所に連行された。警察官が調べたところ、日本人であることが分かった。青年がうれしさのあまり「万歳!」と叫ぶと、生意気だということで、槍や日本刀で惨殺された。14人が検挙されたと記す。
https://mainichi.jp/articles/20230824/k00/00m/040/087000c