JA鳥取西部は8月30日、鳥取県米子市東福原の本店で理事会を開き、同JAの子会社が県西部で運営するスーパー・Aコープ4店全てを来年1月末までに撤退(閉店)することを理事21人の全会一致で決めた。

 同県内ではJA鳥取いなば(鳥取市)とJA鳥取中央(倉吉市)がスーパー計13店舗を今年度中に閉店することを決めており、買い物環境確保の課題が一層、鮮明化した。


 中西広則組合長が記者会見し、今年度上半期(2~7月)の経常損益が448万円▽ディスカウントスーパーやドラッグストアの相次ぐ出店で過去3年間の来店者数が前年比約8割に激減▽農業者の所得拡大、地域農業の振興を果たすことができなくなる――などを理由に挙げた。

 中西組合長は「苦渋の選択だが撤退はやむを得ない。事業継承先があればしっかりと交渉したい」と話した。平井伸治知事は「住民の暮らしを最優先に、店舗の引き継ぎや移動販売を含め、市町村や地元と心一つに買い物環境の確保を図っていく」とコメントした。


 閉店するのは、よどえ(米子市)、大高(同市)、みぞくち(伯耆町)、名和(大山町)の4店で、パートを含む従業員は62人。子会社・鳥取西部ジェイエイサービスの社長を兼務する當別當(とうべっとう)正美専務は「JA本体や経営する農産物直売所アスパルへのあっせんなど雇用維持に努めたい」と話した。

 また、中西組合長は旧町にスーパーが1店舗しかない名和店などの買い物環境確保に向け「市町村に交通網を伸ばしてもらうことや、身近で買い物ができなくなる組合員に食材の宅配をする県生活協同組合連合会などを紹介するなど、できることを支援したい」と述べた。【中尾卓英】

毎日新聞 2023/9/2 15:00(最終更新 9/2 15:00) 697文字
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