【新十津川】新十津川農業高校(空知管内新十津川町、生徒71人)に性別に関係なく使えるトイレ「オールジェンダーレストルーム」が設けられた。8月から利用が始まった新校舎に二つ設置した。
道教委によると、性別に関係なく使えるトイレの設置は道立高校では初めて。

道教委がジェンダー意識の社会的な高まりを受け、2021年に校舎の改築工事の基本設計をする際に設置を決めた。同校は工事前に生徒へのアンケートを実施。
性別で区別せずに個室を並べる案もあったが、男女別のトイレと分けてほしいとの意見が多かったことを踏まえ、男女別トイレとこのトイレをつくることにした。

新校舎は鉄筋コンクリート造り2階建て。三つの普通教室がある2階にオールジェンダーのトイレの個室を二つ設けた。普段生徒が過ごす普通教室側の入り口には、
誰が使うか分かりにくくなるよう、すりガラスを設置した。さらに、女子トイレのすべての個室と同様に、自由に使える生理用品を置いた。

同校教頭の石塚斉さん(55)は、トイレットペーパーの減り具合から「使っている生徒や教職員はいる。すべての人が利用できると呼びかけている」と話す。 
金沢大の岩本健良准教授(ジェンダー学)は「これからの世代にとって共生社会を考える生きた教材で、学校は災害時の避難所として使われることも多い。全ての学校に設置が望まれる」と話す。
道教委はほかの高校への設置について「新十津川農業高の利用状況などを見ながら、他校で校舎を新築する時に検討したい」としている。

道内の私立高校では、札幌日本大学高(北広島)が5月に新築した多目的ホールなどを備えた建物に性別に関係なく利用できる個室トイレを二つ設けている。
ジェンダーに関する取り組みを巡っては、新十津川農業高は22年、男子が詰め襟、女子がセーラー服だった制服をブレザーに統一し、女子はスラックスを選べるようにしている。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/902781/