耳元に届ける詐欺警告 指向性スピーカー 高周波の電話妨害音も イオンモール羽生

ATMコーナーに取り付けられた指向性スピーカーを見上げる利用者(8月25日、羽生市で)
狙った方向にだけクリアな音声を届けられる「指向性スピーカー」を利用して、現金自動預け払い機(ATM)コーナーにいる買い物客に特殊詐欺への注意を呼びかける取り組みを羽生市の商業施設「イオンモール羽生」が始めた。
県警によると、特殊詐欺防止の目的で指向性スピーカーを商業施設に設置するのは全国初。ハイテク機器を犯罪防止に役立てる新たな取り組みとして注目を集めている。(西部悠大)
「還付金や社会保険料が戻ることは絶対にありません」。8月下旬、イオンモール羽生の1階にあるATMコーナーで利用待ちの列に並ぶと、突然耳元にアナウンスが聞こえてきた。約3メートル離れた天井のスピーカーが放送しているメッセージで、特定の場所に立った人にだけ音声が聞こえる仕組みになっている。
商業施設の入り口近くにあるATMコーナーは、買い物客の声や、館内アナウンスなどが飛び交い、にぎやかだ。こうした環境でも、指向性スピーカーはピンポイントではっきりとした音を届けることができる。ATMコーナーにいた羽生市の水谷夏さん(28)は「スピーカーは遠くにあるのに声がよく聞こえる」と驚いていた。
指向性スピーカーを開発した「グローバルアライアンス」(東京)は、美術館や大型イベント向けに販売してきた。詐欺対策として全国の金融機関などへの販売を始めたのは今年3月。取り組みを知ったイオンモール羽生からの依頼を受け、商業施設にも設置された。
羽生署の松本和久署長は「『自分はだまされない』と思っている人にも、ダイレクトに注意を呼びかけることができる」と効果に期待する。

https://www.yomiuri.co.jp/local/saitama/news/20230906-OYTNT50204/

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