https://news.yahoo.co.jp/articles/34a36e70cf1f3923f9e02777deec94fcacd9921e
「性欲のはけ口として」就活中の女子大生ら10人を次々と…レイプドラッグ事件「生々しい実態」ルポ
「被害者らの尊厳を無視して自らの性欲のはけ口として扱う非道な犯行だ」
裁判長は、被告の卑劣な行動をこう断罪したーー。
「身体を触りたい衝動に支配された」…女子大生らの動画100本以上「わいせつ男」戦慄の素顔写真
9月4日、東京地裁(野村賢裁判長)は準強制性交罪などに問われている元リクルートグループ社員・丸田憲司朗被告(33)に懲役25年の判決を言い渡した。丸太被告は数年間にわたり、就職活動中の女子大生ら少なくとも10人に睡眠薬を飲ませるなどして性的暴行を働いたとされる。
「判決によると丸田被告は、’17年4月から’20年10月にかけ就職活動の相談を寄せていた女子大生らに睡眠薬を入れた飲み物を使い犯行に及んだようです。女子大生らは抵抗できない状態で被害に遭っていたとか。丸田被告は都内のホテルや自宅で、わいせつな行為をしていたとされます」(全国紙司法担当記者)
『FRIDAYデジタル』では’21年10月13日配信の記事で、ノンフィクション作家・石井光太氏が丸田被告の事件をもとに「レイプドラッグ」について詳しくルポしている。再録して、問題の深い闇や生々しい実態についてあらためて考えたい(内容は修正し肩書きは略しています)ーー。
◆自宅から睡眠薬700錠
ここ数年、レイプドラッグと呼ばれる睡眠薬をつかった性犯罪が、世界的に増加している。それは日本も例外ではない。
日本で最近起きたレイプドラッグを使用した事件としては、’20年に丸田(逮捕当時30歳)が起こした連続レイプドラッグ強姦事件がある。
リクルートコミュニケーションズの社員だった丸田は、主に就活アプリのOBマッチング機能などを使って、就活中の女子学生たちに「就活の指導をする」と声を掛け、次から次に呼び出していた。SNS等で使用していたのは、さわやかな美男子風の写真だった。
なぜ彼女たちは簡単に呼び出しに応じたのか。
コロナ禍での就活はただでさえ大変である上に、OB訪問のつてのない女子学生にしてみれば、オンライン上で出会える丸田は是が非でもすがりたい相手だったはずだ。そうした就活生の心理を巧みに利用し、出身大学などを偽り、自分に任せれば就活は大丈夫と言って誘い出したのだ。
丸田は、こうして呼び出した女子学生たちを、「就活指導」や「課題の手伝い」を名目にホテルや自宅に連れ込んだ。女子学生にしても、コロナ禍で行ける場所に制限があったため、藁にもすがる気持ちで指定された場所へ足を運んだのだろう。
彼はそんな女子学生たちに優しく接し、安心させる。そしてレイプドラッグ入りのカクテルなどを飲ませた。彼女たちは数口飲んだだけで記憶を失ったという。丸田はそんな女子学生に対して性犯罪に及んだのである。
逮捕後、丸田の自宅からは、10種類の睡眠薬が合計700錠も発見された。さらにスマートフォンなどからはおおよそ40人の被害者とみられる女性の写真が見つかっている。眠らせて犯行に及んだ際に、動画や静止画を撮影したのだ。
今年10月現在、警察は10回にわたって丸田を逮捕しているが、実際に被害に遭った女性は、はるかに多数に及ぶと推測されている。
警察の取り調べの際、丸田はこう供述していたという。
「認否は言明しない。女性をないがしろにしたことは大変申し訳ない気持ちです」
この丸田の事件から、レイプドラッグをつかった性犯罪について考えたい。
まず、よく知られている通り、この種の犯罪は表沙汰になることが少ない。冒頭で事件が増加していると述べたが、’11年に認知されたのはわずか15件、近年増えているといっても’20年の認知件数は60件に留まっている。
増加しているのは確かだが、日本よりずっと人口が少ない英国では同様の事件が年間に500件ほど起きている。それを考えれば、日本では葬られている事件がかなり多いと考えるべきだろう。
原因としては、被害女性が警察に訴えるハードルが高いためだ。
性被害に遭った直後に警察へ駆け込み、根掘り葉掘り聞かれ、様々な検査まで受けさせられるのは耐えがたい。ましてや警察官から「なぜ、男についていったのか」と言われれば、責められている気になって心に傷を負う。
もう一つ考えるべきは、女性が抱く恐怖心だ。
この種の事件では、男性が女性の個人情報を握っていることが少なくない。また、レイプドラッグを使用した犯罪では、性行為を動画等で撮影されていることがある。丸田が40人に及ぶ画像を所持していたことからも、それは明らかだ。