2019年8月、京都市内の雑踏に紛れ、大月隆生さん(25)は性暴力に抗議する「フラワーデモ」を遠巻きに見ていた。マイクやプラカードを手にする人は、ほとんどが女性だった。「性被害に遭ったとはいえ、男の自分が参加してもいいのか」。その思いを拭い去れず、近づくことができなかった。

 それから4年。大月さんは大学時代にジェンダー論を学んだことを契機に、中学・高校生向けの講演で被害体験や、逆に友達や彼女を傷付けてしまった自身の行為を語るようになった。性被害の防止へ、自分なりの一歩を踏み出している。

 大月さんが被害に遭ったのは、小学校低学年の時に通っていた塾でだった。加害者は、同じ塾に通う知人の男子高校生。週1~2回は顔を合わす間柄で、一緒に遊んでもらったり、ジュースをおごってもらったりした。「お兄ちゃん」と呼んで慕っていた。

「お兄ちゃん」の様子はいつもと違った

 その日も同じように、塾の終わりにお兄ちゃんに会った。しかし、いつもと様子が違う。お兄ちゃんのポケットの中に手を入…

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