中国、存在感低下避けられず 初めて国家主席不在―G20サミット

【ニューデリー時事】中国の李強首相は8日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議のためのインドネシア訪問を終え、9日にインドで開幕する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席する。中国はG20サミット初開催の2008年から国家主席が毎年出席してきたが、今回は習近平氏が欠席し、会議における存在感低下は避けられない見通しだ。

 トップに権力が集中する中国では、重要な外交上の意思決定は習氏の専権事項。政権ナンバー2の李氏は経済政策を主に担う。
 米国との長期的対立をにらみ、新興・途上国「グローバルサウス」や欧州との関係を重視する習氏だが、各国首脳と直接対話できるサミットの出席見送りは、中国外交への不信感を高めかねない。香港紙は、習氏の不在で「グローバルサウスの盟主」を自任するインドのモディ首相が指導力を発揮する好機となると分析した。
 習氏の欠席理由は明らかになっていないが、国境紛争で悪化した中印関係や、バイデン米大統領との首脳会談を「時期尚早」と判断したことが原因との見立てが出ている。G20サミットを巡っては、ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領も先に欠席を表明。ロシアと足並みをそろえた形となり、「米欧」対「中ロ」の構図がより鮮明化しそうだ。
 中国人民大の時殷弘教授は「中国外交の舞台としてのG20の状況は近年、複雑で難しくなっている。友好国の中でも、ロシアは戦争行為によってしばしば中国を困らせており、インドネシアとは南シナ海問題がくすぶる」と指摘した。
 ASEAN関連首脳会議では、中国の強引な海洋進出を巡って、米国や東南アジア諸国から厳しい声が相次いだ。G20サミットでも再び米国などとの応酬が予想される。(2023/09/08-20:30)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090800987&g=int