日本有数の芸能事務所を作り上げたジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川氏が、所属タレントに性加害を繰り返していたとされる問題で
喜多川氏のめいにあたる藤島ジュリー景子社長は7日、喜多川氏による性加害を初めて認め、社長を辞任したことを明らかにした。

日本国内に衝撃が走ったのか?  いや、走らなかった。

それよりむしろ、「みんな知ってたけど、誰も何もしなかった。それがついにおおっぴらになった」という感覚の方が強い。

喜多川氏にはもう何十年も、性的加害の疑惑がつきまとっていた。発言しようとする者は阻止された。
芸能界で絶大な権力をもつ巨大な存在と、その帝国が繰り出してくるだろう訴訟の予感が、声を上げようとする人の前に立ちはだかっていたのだ。

加害疑惑の一部はすでに、民事裁判で真実と認められていた。しかし、刑事訴追はされなかった。

喜多川氏は、性加害の対象を常に追い求める「プレデター(捕食者)」だった。
同時に彼は、スターを生み出すスターメーカーで、Jポップ界の数々のビッグスターにとっては恩師、恩人だった。
権力と成功と、何百人もの少年の夢を、彼はずっと握っていたのだ。
日本で芸能界を目指す10代の少年にとっては、これがスターになるための「暗黙の代償」だったという書き方をした記事もある。

BBCが今年3月に放送したドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」で発言した被害者の1人は、「これを我慢しないと売れないから」と周りに言われたと話す。

喜多川氏は自分が育てたタレントたちに恐れられ、あがめられていた。

藤島氏らによる7日の記者会見を受けて、ほとんどの新聞は新社長となった東山紀之氏の写真を一面に掲載した。

「"父"ジャニー氏の性加害」という見出しを掲げた新聞もあった。東山氏はかねて喜多川氏を恩人として語り、「父のよう」に慕ってきたと述べていた。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66760831