これまでに行われた研究により、コーヒーには認知症を予防する効果があることがわかっています。さらに、エスプレッソの本場イタリアの研究により、コーヒー豆を濃厚に抽出したエスプレッソにはアルツハイマー病の原因と考えられている物質の蓄積を防ぐ働きがあることや、その作用の元になっている可能性が高い有効成分が判明しました。

アルツハイマー病が発生するプロセスは完全には解明されていませんが、「タウタンパク質」という物質が重要な働きをしているという説が支持されています。

タウタンパク質は、健康な人では脳の構造を安定化させるのに役立てられている物質です。しかし、神経細胞内に異常に蓄積して凝集する「タウオパチー」という問題が発生すると神経細胞が死んでしまい、これがアルツハイマー病の原因となっていると考えられています。

このことを踏まえ、イタリア・ヴェローナ大学の研究チームは、イタリアなど世界各地でよく飲まれているコーヒーの入れ方である「エスプレッソ」がタウタンパク質の蓄積を防げるかを調べました。

実験に使用するエスプレッソの原料として、研究チームは市販の南米産アラビカ種コーヒー豆とアフリカおよび南西アジア産のロブスタ種コーヒー豆のブレンドを選択し、エスプレッソマシンを使って豆の粉末15gから80mlのエスプレッソを抽出しました。

次に、核磁気共鳴分光法(NMR)という手法でエスプレッソの化学組成を分析したところ、主成分としてカフェイン 、トリゴネリン、ゲニステイン、テオブロミンが特定できたため、これらの成分も別途調達して実験に使用しました。

https://gigazine.net/news/20230909-espresso-coffee-mitigates-alzheimer-tau-protein/