https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC132TG0T10C23A9000000/
ニデックが買収のTAKISAWA「雇用継続、社名残したい」
工作機械メーカーのTAKISAWAは13日、ニデック（旧日本電産）からのTOB（株式公開買い付け）提案について、賛同すると表明した。同日記者会見した原田一八社長は企業価値向上や株主利益に資する点を受け入れ理由に挙げた。ニデック子会社となっても従業員約750人の雇用は確保されると強調。ニデック傘下で世界一の工作機械メーカーグループを目指すとした。
原田社長の主な一問一答は以下の通り。
――今回受け入れた理由と、提案を拒否した2022年との違いは。
「ニデックグループ入りすることでアプローチできる顧客層を拡大できる。共同購買もかなり強力で、円安・材料高が続く中で物流コストも効率化し、収益のプラスが予想される。買い付け価格は（5年間の事業計画に基づく株式価値算定を上回り）プレミアム価格で合理的な売却機会を提供できると判断した」
「（22年提案は）株主総会決議を前提としない第三者割当増資を通じた連結子会社化だった。大規模な増資を正当化する資金調達の必要性、緊急性がなかった」
――従業員の待遇や経営体制はどうなるのか。
「雇用は継続され、賃金も大きく劣後することにならないと考えている。従業員の不安がないとは言い切れないので、朝礼などで改めて話していく。経営体制については白紙、変更の可能性もある。100周年だった22年にかえたTAKISAWAの社名は残したい」
「工作機械の業界は固定化し、いつかは再編があると言われてきた。（強みとする）旋盤の精度の高さは自負していて、設計・製造の価値に改めて気づかされた。世界一のグループを目指したい」
TAKISAWAのTOB受け入れ表明を受けて、地元経済界からは前向きに受け止める声が上がった。大株主でもある中国銀行は、TAKISAWAの今後の成長や地域経済への影響など動向を注視してきたとし「すべてのステークホルダーへの影響を熟慮のうえで判断した結果だと理解している」とのコメントを公表した。
岡山商工会議所の松田久会頭は、TOBはニデックの新たな成長戦略を描くためとの認識を示し、「TAKISAWAの事業活動がさらに活発となり、地域経済の発展にも寄与するものと期待している」とした。
