風俗嬢で喫煙者…転機となった役柄

 さらに大きな転機となったのが、25歳のときにフジテレビ系の月9ドラマ『流れ星』(2010年)でヒロインを演じたことである。それまでは、ひとつの作品が終わったら、間髪を入れずに次の作品の台本を渡されて現場に行っていたのが、このとき初めて、事務所の社長から事前に企画書を見せられ、この役をやりたいかどうか訊かれた。それは風俗嬢で喫煙者という、少しやさぐれたイメージの役どころであった。CMなどでの明るいイメージとは離れた役に自分を選んでくれたのがうれしくて、絶対にやりたいと思ったという。

 撮影に入ってからは、監督の宮本理江子と相手役の竹野内豊の3人で、芝居について議論することが多かった。自分の意見を言ってもいいという境遇も上戸には新鮮だった。こうして初めて自分で仕事を選び、自分の考えを出すという経験をしたことで、仕事に対する意識全般が変わっていく。《仕事に裁量をもたせてもらえたことで、ようやく自分の仕事に納得できるようになりましたね》と、のちに上戸は顧みている(『Hanako』前掲号)。

  https://news.livedoor.com/article/detail/24985876/