金正恩と会ったプーチンが中国に突きつけた「警告」
中国は現状の国境線に怒りを抱えている。鉄道を見渡せる場所から日本海にいたるまでの細長い土地周辺は、中国が領有していてもおかしくなかった場所だからだ。もし領有していたら、中国は日本海に開いた出口を貿易などのために確保できていた。一帯は歴史の大半を通じて中国領であり、中国がかつての領土をどれほど強く欲しているかはよく知られている通りだ。
中国は昔は日本海にアクセスできていた。しかし、現在は生産物を日本海を使って輸出する場合、気まぐれな北朝鮮の港に頼らざるを得ない。なぜかというと、日本軍の中国占領中、豆満江を下って船で海に出ることは不可能になり、第二次大戦後、河口付近は川を挟んでそのまま旧ソ連と北朝鮮の国境になったからだ。スターリンは中国に土地を一片もくれてやらなかった。
ここに、金正恩による訪ロの重層的な意味の1つを読み解く最初のカギがある。プーチンはおそらく、中国にこんなメッセージを送った。ウクライナでの戦争でロシアが必要としているものを中国が提供しないのなら、中国は罰を受けずには済まされない──。
数十年にわたって、中国は北朝鮮にとって最大の貿易相手国であり、予想困難な国である北朝鮮に対して世界で唯一、影響力を行使できる存在でもあった。ロシアはこれまで、北朝鮮との関係は不毛で大規模なインフラ投資も必要になるとみて及び腰だった。中国を刺激したくないという判断もあったのかもしれない。
中国は、金正恩が列車で通った戦略的に重要な土地をめぐって不満を抱えている。国境地帯の中国側には、中国の領土喪失を図版や映像で伝える博物館まである。つまり、一帯は非常にシンボリックでセンシティブな場所であり、プーチンはそのことも知っている。
そのうえでプーチンは、北朝鮮との関係をあらためて強化すると大々的に示してみせた。中国に対して、これからはすべてが変わると警告を発した。ロシアが必要としている武器を中国が供給しないということなら、ロシアは北朝鮮に対する中国の(不安定な)優位性に挑むだろう──。
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https://forbesjapan.com/articles/detail/66045