「北斗の拳」誕生40年 連載終了後も人気持続 なぜ?

河村鳴紘サブカル専門ライター
9/17(日) 11:57

コミックスの累計発行部数が1億部を超えるマンガ「北斗の拳」が
誕生から40周年を迎えました。本編のマンガ連載が終わって
35年にもかかわらず、再度のアニメ化が発表され、プロ野球や
大相撲などでもネタになっています。持続する人気の理由を考察します。

◇世界観や必殺技 説得力のある物語
 「北斗の拳」は、武論尊さん原作、原哲夫さん作画で、
1983〜88年に週刊少年ジャンプ(集英社)で連載。核戦争後の
荒廃した世界で、伝説の暗殺拳「北斗神拳」の使い手・
ケンシロウの活躍を描いています。以前に取材する機会があって、
武論尊さんに同作の誕生について尋ねたとき、核戦争後の
世界を描いたバイオレンス映画「マッドマックス2」と共に、
独裁者ポル・ポトに支配され、多くの国民が殺された
カンボジアの影響もあると教えてくれました。

 武論尊さんは独裁政治から脱したばかりの同国を訪れ、
子供に護衛してもらい、町にあるガイコツの山を見たそうです。
「北斗の拳」では、主人公の宿敵で長兄のラオウが、乱れた
世界を力で制圧しようとしますが、「それも一つの方法」と
考えるしかない経験があったのです。また当時の世界は、
米ソ対立で核兵器の脅威にさらされていたので、やはり
説得力がありました。虐げられる弱者の痛みといった、
いつの時代に誰もが共感できる要素も盛り込んでいて、
今読んでも魅了されるのです。

 さらに、嫌われ者もインパクト抜群。ケンシロウになりすまして
悪事の限りを尽くすジャギ、残酷な人体実験を続けるアミバ、
人質を取って威張り散らすジャコウ。その末路に読者はスカッと
させられたでしょう。

 そして主要キャラにすぐ倒される雑魚キャラクターたちでさえ、
味がありました。モヒカン頭やスキンヘッド、悪人顔の雑魚キャラは、
あまりのインパクトから新聞広告で使われたり、雑魚キャラなのに
舞台化されたことも。名前もない雑魚すらこのパワーです。
改めて「北斗の拳」というコンテンツの深みを感じさせます。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8a3c6206cb06b025aa34d198b7292684a736a195