「敬老祝い金」どうする?意見分かれる自治体も…いま何が
その日、市議会の議場は、穏やかではありませんでした。
議員の1人が反対討論に立ちました。
「多くの市民が楽しみにし、感謝される祝い金を廃止することは、決して市民の幸せにはつながらない。
行政に対する怒り、嘆き、落胆、不信の声は大きくなり、幸福度は下がる一方です」
一方、賛成議員はこう言いました。
「市の将来が危ぶまれる中、将来を犠牲にしてでももらえる5,000円は、高齢者の生きがいになるものでしょうか」
賛成4、反対11、議案は否決されました。
何が起きていた?
ここは、秋田県内陸部の仙北市。
人口2万3000人あまり、田沢湖や乳頭温泉郷などの観光地で知られています。
ことし3月、市は議会に「敬老祝い金の一部を廃止」を提案しました。
今の制度では、
▽満80歳を迎えた住民には5,000円
▽満100歳の住民には10万円を毎年支給してきました。
市の提案は、このうち「5,000円」の方を廃止するという内容で、その理由は「子育て予算へ振り向ける」だとされました。
というのも、市の高齢化率は44%にもなる一方、生まれる子どもの数は減り続け、過去最少の70人と、
10年前の半分近くにまで落ち込んでいたのです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230916/k10014195391000.html