東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪に問われた大会組織委員会元次長、森泰夫被告(56)の論告求刑公判が21日、東京地裁であった。検察側は「発注者側の責任者として、犯行に主導的に関わり中心的な役割を果たした」として懲役2年を求刑し、結審した。判決は12月12日。

森元次長は7月の初公判で「オリンピックを成功させたかった」などと起訴内容を認めていた。

検察側によると、森元次長は自身が責任者として関与していたテスト大会の準備が進んでいないことに危機感を抱き、2016年10月ごろにスポーツイベントの運営経験が豊富な電通に協力を要請。同社元スポーツ局長補の逸見晃治被告(56)=同法違反罪で公判中=とともに受注予定業者の「一覧表」を作成するなど、事前調整を図ったとした。

起訴状によると、森元次長らは18年2〜7月、組織委が発注したテスト大会の計画立案業務や本大会の運営業務などに関し、受注業務を事前に調整し、互いの競争を制限したとされる。本大会の運営業務なども含めると、各社の受注規模は総額で約437億円に上った。

事件では、電通グループなど広告会社やイベント会社6社と、各社の担当者ら7人が起訴された。

7月に公判が始まった逸見元局長補と法人としての電通グループは、テスト大会の計画立案業務について法令違反があったと認めつつ、テスト大会の実施や本大会の運営業務については認否を留保した。博報堂など他の一部法人や担当者についても、年内に公判が始まるとみられる。

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