ロシア、ウクライナを大規模空爆 エネルギー施設に被害 各地で停電

[キーウ 21日 ロイター] - ロシア軍は21日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を含む各地に大規模な空爆を行い、全土でエネルギー・インフラ施設が被害を受けた。政府当局者によると、空爆で2人が死亡したほか、9歳の少女を含む少なくとも18人が負傷した。

この日の空爆は過去数週間で最も規模が大きく、ウクライナ当局者は冬季を前にロシア軍がウクライナの電力網を標的に新たな空爆を開始したとの見方を示している。昨冬はロシア軍の重要インフラに対する度重なる空爆で大規模な停電が引き起こされ、何百万人もの人々が厳しい寒さにさらされた。

この日の攻撃を受け、ウクライナ西部、中部、東部の5つの地域で停電が発生。アンドレイ・オサドチュク議員は「冬季を前に(ロシア軍は)ウクライナのエネルギーインフラに対するミサイル攻撃を再開した」と短文投稿サイトのX(旧ツイッター)に投稿した。

ウクライナの電力会社ウクルエネルゴによると、ロシア軍によるウクライナの電力インフラへに対する攻撃は6カ月ぶりで、西部と中部の施設が被害を受けた。リブネ、ジトーミル、キーウ、ドニエプロペトロフスク、ハリコフの各地域で停電が発生したという。

ロシア国防省は声明で、軍事産業施設、無線情報施設、破壊工作グループの訓練センターを攻撃したと表明。全ての標的を攻撃したとしている。

訪米中のウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍による大規模な攻撃を非難。バイデン米大統領との会談を前に「(ウクライナに対する)一段の防空を。(ロシアに対する)一段の制裁を。最前線のウクライナ兵士に対する一段の支援を」と対話アプリ「テレグラム」に投稿した。

<全土に被害>

ウクライナ当局者によると、ロシア軍は一晩のうちに43発の巡航ミサイルを数回に分けて発射。このうち36発を迎撃したとしている。

ウクライナのクリメンコ内相は早朝の空爆で北部キーウ州、中部チェルカスイ州、東部ハリコフ市で負傷者が出たとメッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。多数の州で爆発音が聞こえたとも述べた。

キーウのクリチコ市長は、9歳の少女を含む7人が市内で負傷したと明らかにした。市中心部にはミサイルの破片が落下し、インフラ施設や数軒のビルが損傷したという。

西部リビウ州のコジツキー知事によると、ポーランドとの国境から約60キロのドロホビッチ市にロシア軍が発射したミサイル3発が着弾したという。

内務省や地方当局は、東部ハリコフ州、西部のフメリニツキー、リブネ、リビウ、イワノフランコフスクの4州、中部ビンニツァ州で爆発があったとしている。

これとは別に、南部ヘルソン州のプロクジン知事は夜間にヘルソン市の寮がロシア軍の砲撃を受け、2人が死亡したと明らかにした。

<ウクライナ軍、クリミアの空軍基地を攻撃と表明>

ウクライナ軍は、ロシア占領下のクリミアにあるサキ空軍基地を攻撃したと発表。ウクライナ軍は詳細は明らかにしていないが、ウクライナの情報筋は基地の設備が深刻な被害を受けたとしている。

ロシアは2014年にクリミアを一方的に「併合」。クリミアのロシア側責任者、セルゲイ・アクショーノフ氏の顧問は、ウクライナのミサイルはどれも標的に命中ししていないと述べ、主張が食い違っている。

https://jp.reuters.com/world/ukraine/EJVXP2AIWVIEFODD3ATAJ75U5I-2023-09-21/