米国などで「メディア王」として知られるルパート・マードック氏(92)は21日、主要メディアを傘下に持つ「ニューズ・コーポレーション」や「FOXコーポレーション」の経営の一線から退くと表明した。
両グループの経営は長男ラクラン氏(52)が引き継ぎ、マードック氏は名誉会長となる。

 マードック氏は声明で「職業人生を通じて、日々ニュースに関わってきた。今後もそれは変わることはないが、異なる役割を担うのに適切な時機だ」と述べ、従業員らに謝意を示した。

ニューズ・コーポレーションは米紙ウォール・ストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズ社、FOXコーポーレーションは保守系ケーブルテレビ局FOXニュースなどを傘下に持っており、米共和党や保守派の論調に強い影響力を持っている。

 FOXニュースなどの傘下メディアはトランプ前米大統領に近いメディアとして知られていたが、2022年の中間選挙後はトランプ氏から距離を置く姿勢を強めた。
20年大統領選が「不正な選挙だった」と根拠なく訴え続けるトランプ氏に対して、マードック氏が見切りをつけたとの見方が広がった。

 一方、FOXニュースは20年大統領選を巡ってトランプ氏に同調して「集計機の操作で大規模な不正があった」と報じたことを巡り、集計機メーカーから名誉毀損(きそん)で損害賠償を請求され、23年4月に7億8750万ドル(約1164億円)を支払うことで和解した。

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