「財政赤字の原因は何だと思いますか」――。東京財団が5月にユニークなアンケート結果を公表した(※)。
設問自体は一般的だが、これを「経済学者」と「国民全般」に分けて集計し、その意識の乖離かいりに焦点を当てたのだ。

回答は選択肢から2つを選ぶ手法で、選択肢は「社会保障費」「公共事業」「高い公務員の人件費」「政治の無駄遣い」「その他」「わからない」の6つ。見事に経済学者と国民の意識の違いが表れた。

経済学者が考える赤字の原因は「社会保障費」が72%に及びトップになった。「政治の無駄遣い」41.1%、「公共事業」19.5%と続き「高い公務員の人件費」は1.8%だった。
「その他」が14.5%もあるのは選択肢の設定が十分でなかったと見ることもできるが、それは置いておこう。

これに対しては国民の答えは、「政治の無駄遣い」が71.5%でトップ。これに経済学者が原因とはほとんど考えなかった「高い公務員の人件費」が40.4%で続いた。
経済学者が最大の要因と指摘した「社会保障費」は17.5%、「公共事業」は12.5%だった。
東京財団では「(国民は)無駄遣いの抑制や公務員の人件費削減などの歳出削減により、財政赤字問題には対応できると考えている可能性がある」と分析している。

https://president.jp/articles/-/70458?page=1