東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出が始まって24日で1カ月。これまでに周辺環境や水産物のモニタリング調査で異変は確認されていない。「安全と安心は違う」と訴える漁業者を支えようと、政府は総額1007億円の支援の枠組みを決定した。一方、中国は8月24日に始めた日本産水産物の禁輸を継続している。

処理水の放出以降、東電や政府は周辺環境のモニタリング結果の公表と安全性に関する情報発信を強化している。東電は特設サイト「処理水ポータルサイト」の中に、関係各機関がそれぞれ実施している海水や魚のモニタリングのデータを地図上に集約し、一元的にみられるようにした。

このうち水産庁は連日、放出口周辺でヒラメやホウボウを捕獲し、筋肉組織に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を検査。これまでのところすべて不検出となっている。連日の検査は25日公表分で終え、その後はペースを落として続ける方針だ。

太平洋沿岸地域で捕れた魚についての放射性物質セシウムの濃度調査も、放出開始以降は大半が不検出で、検出された場合も極めて低い値となっている。

松野博一官房長官は放出について「計画通り、安全に進められている」と評価した上で、「国際的にも科学的知見に基づく冷静な対応が広がっている」と話している。

https://www.sankei.com/article/20230923-AB2X6IEQOBM6HBTXUK7LG5FKGI/