2か月に一度受給する6万円の年金が唯一の収入源で、これまでにも数回、万引きに手を染めた過去がある。

「当時、所持金は数十円しかなかったが、なぜ入店したのか?」

少し猫背気味で正面を見据えながら、男性は検察官からの質問に答えた。

「お腹が空いていて、パンの陳列棚を通り掛かったとき、手に取ってしまった」

2023年3月7日の午前9時ごろ、愛媛県松山市内のコンビニエンスストア。パンの陳列棚の周辺を歩き回る男性を不審に思った店員が声を掛け、手さげ袋の中を確認したことで、窃盗が発覚した。盗んだのは販売価格140円のカレーパン1個だった。

裁判は即日結審し、検察側は罰金30万円を求刑。

一方の弁護側は、店にパンの代金140円を支払った上、これとは別に1万円の弁償金も支払い示談が成立しているとして、執行猶予付きの判決を求めた。

5月11日。男性には求刑通り、罰金30万円の判決が言い渡された。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5005e72edfc69231e8ab3e21dc216c756a64f693