「漫画やアニメが好きで来日しましたが、日本には四季があり、同じ場所でも紅葉と雪景色で表情が一変し、驚いています。中でも岩手県南部の猊鼻渓（げいびけい）の美しさには息を呑みました。
岩手県一関市の一ノ関駅から宮城県気仙沼市の気仙沼駅を結ぶ大船渡線で猊鼻渓駅まで行き、船で紅葉を見ながら川下りをしました。川は透明で、川底まで見えます。いつもとは違ったアングルで自然を眺めながらゆっくりと船に揺られている間はずうっと感動していました」
あしやさんは“鉄ちゃん”でも知られている。鉄道大国のロシアと比べて、車両の色や形が変化に富み、発車メロディーもバラエティ豊かで、車窓から眺める景色が至福のひとときと語る。山梨県の小淵沢駅から長野県小諸市の小諸駅まで結ぶ小海線を推す。
「車窓からは八ヶ岳や甲斐駒ケ岳（かいこまがたけ）が見えます。私が暮らしたミアスでは小さな山が多く、トンネルがあまりないんですね。日本は山岳地が多く、長いトンネルを抜けると景色が一変するのも楽しい。ウラル山脈の麓で育ったので、山の稜線を見ると気持ちが落ち着きます」
ローカル線の他、首都圏エリアの通勤列車である中央線を独自の目線で語る。
「四ツ谷―市ヶ谷―飯田橋では、線路に沿ってお堀が見えます。春になればお堀に沿って桜が咲き、車窓からも楽しめます。突然、釣り堀や遊園地が見えるし、御茶ノ水駅のホームに立つと、線路と平行して、神田川の流れも見えます。中央線は高尾駅で乗り換えれば、甲府や松本、安曇野まで普通列車で行けるところも好きです」
東京メトロ丸ノ内線の矛盾をこう笑う。
「地下鉄なのに地上を走っていますね」
丸ノ内線からJR中央線・四ツ谷駅に乗り換える際、丸ノ内線のホームは中央線線路の上に延びている。またJR中央線・御茶ノ水駅のホームから、神田川を渡る丸ノ内線を見下ろすことができる。
「地上に出たと思ったらまた地下に入っていて、『地下鉄なのに？』と感じています。ロシアの地下鉄は大江戸線よりも深く掘られています。冷戦時代、核シェルターを兼ねて作られた、といわれていますが、ホームに行くのに、延々とエスカレーターに乗り、景色の変化がありません。東京の地下鉄は、ちょっと階段を下るだけで改札です。銀座線も渋谷駅の近くで地上を走り、面白いですね」
次に乗ってみたい電車は愛媛県・宇和島駅と香川県・高松駅を結ぶ四国の大動脈JR予讃線。愛媛県伊予市にある下灘駅に行きたいという。
「目の前には瀬戸内海が広がり、視界をさえぎるものが何もないので、絶景を楽しむことができるスポット。日が沈む時刻に行ってみたい。
日本のローカル線は大好きです。駅舎に歴史を感じさせるものがあったり、『どこから来たの？』と地元の人に話しかけられたり、会話も弾みます。“車窓鉄”の目線で、日本の良いところを発見し、発信していきたいです」
https://news.yahoo.co.jp/articles/10cd0e4d85bb62ed6299daab5507fd368c3fca74
https://i.imgur.com/KTRl1ae.jpg
