CapsLockってなにそれ美味しいの?普段使われない愉快なキーたち

7月頭、編集部から「フルキーボードであまり使わないキーを解説してもらえませんか」という依頼が来た。曰く「対象はPause、Insert、Scroll Lock、Home/End、Page Up/Down、CapsLockあたり」だそうで、「え、Page Up/Downは使うだろう普通(憤怒)」といきなり戦争になったのだが、それはともかく。

Pauseってなんのためにあったの? CapsLockはどうやって生まれたの?
「何があまり使わないキーなのか」議論はさておき、IBM-PCのキーボードは本当だったら「IBM 3270」というIBMのメインフレームと接続する端末の延長にあった。しかしMS-DOSが導入される際にCP/Mマシンとの互換性を保つためのキーが追加され(逆に3270関連のキーはほとんど削除され)、それが今になっても引き継がれている格好である。

「なんでCP/Mマシン?」というと、IBM-PCを開発するにあたってDOSの開発をMicrosoftに外注したのだが、Microsoftは「IBM-DOS」というか「MS-DOS」の開発で、SCP(Seattle Computer Products)が開発した「86-DOS」を買収してこれをベースにした。そしてこの86-DOSがCP/Mを8086で稼働できるようにした“CP/Mクローン”ともいうべきDOSであったから、である。

そしてそのCP/Mは、DECの「VT-100」という端末のキーボードに準拠したキーボードを前提にしており、主要なCP/MマシンはいずれもVT-100互換のキーボード配置を利用していた。86-DOSはこれを引き継ぎ、それがMS-DOSにそのまま継承された格好だ。

ではそのVT-100の配列はどこから? というと、これは「VT05」/「VT50」/「VT52」という一連のビデオ端末の流れを汲んだ製品であるが、VT05が投入されたのは1970年であり、それ以前はどうしていたか? というとテレタイプなるものがあった。

正確に言えば、テレタイプというのは社名(米Teletype Communication)で、本来はElectromechanical Teleprinterとでも言うのが正しいのだろうが、もうテレタイプという言葉が広まってるのでここではテレタイプで通す。

テレタイプとして有名なのはTeletype Communicationの「ASR-33」だが、それ以外のものも色々使われていた。VT05やVT50/52、VT100はこれらのテレタイプと置き換えて使うことが可能であり、結果、一部のキーはこのテレタイプの時代に利用されていたものを未だに継承している。

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