「ハマス完全排除を」「処理水の中国反発はプロパガンダ」 ヒラリー・クリントン元米国務長官インタビュー

ヒラリー・クリントン元米国務長官は22日までに、都内で産経新聞とフジテレビのインタビューに応じた。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの完全排除を訴えるとともに、日本の人道支援に期待を表明。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出への中国の反発については「プロパガンダ」と批判した。クリントン氏は高松宮殿下記念世界文化賞の国際顧問として来日した。

クリントン氏はハマスに関し、「国家ではなく、テロリスト組織だ。彼らの居場所はない」と指弾。イスラエルの「強い措置」によって危機が解決されるべきだと述べるとともに、「ハマスのメンバーでない非暴力的なパレスチナ人」の指導力に期待を寄せた。パレスチナ人道支援で日本を「重要なプレーヤー」と位置づけ、「国際社会と力を合わせれば大きな助けになる」と語った。

福島原発の処理水放出について「日本は注意深く徹底して何をすべきか分析した」と理解を示す一方、中国の反発を「プロパガンダ」と一蹴。中国が自国沿岸の原発から科学的に安全な方法で海洋放出していないと指摘した上で、中国が本当に海や魚に配慮するなら「『中国の原発から安全に海洋放出をするため助けてくれ』と日本に言うはずだ」と語った。

クリントン氏は中国の習近平国家主席が台湾を威圧していることにも言及。海上封鎖や侵攻など「何らかの動きをする」との見方を示し、「指導者がその座に長くとどまれば野心的になる。(習氏の)関心は台湾にとどまらない」と中国の支配拡大に警鐘を鳴らした。

ロシアから侵略されるウクライナへの支援を巡り、米下院議長が解任されるなど米国で混乱が続くことについては「誰が議長に選出されても、ウクライナ支援が続くことで決着がつく」と予想。「プーチン(露大統領)は帝国を欧州地域に築くという妄想に捉われている」と述べ、ロシアの動きを封じるよう訴えた。

米国では来秋、大統領選が実施される。クリントン氏はバイデン大統領(民主党)がインフラ整備やクリーンエネルギー移行などを通じ、「米経済を安定させてきた」と力説。民主党の大統領候補として「私自身、出馬しない」と述べ、「バイデン氏は再選されるだろう」と期待を表明した。(黒沢潤)

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