岸田文雄首相が23日に行った所信表明演説は「変化の流れを絶対に逃さない、つかみ取る」とのフレーズで始まる。

 「変化の流れ」の文言は経済情勢やデジタル化、外交・安全保障などさまざまな文脈で用いられ、登場回数は項目名を含め14回に上った。

 首相は演説で「明治維新、戦後復興、高度成長。日本は大きな時代の変化の流れをつかみ取り、歴史に残る大きな社会変革を実現してきた」と振り返り、「再び歴史的な転換点に立っている。共に挑戦しよう」と議場に呼び掛けた。

 首相が政策遂行の「一丁目一番地」に掲げるのが経済。演説でも「経済、経済、経済」と繰り返し、「供給力の強化」と「国民への還元」を「車の両輪」として総合経済対策を策定し実行すると表明した。

 「30年」もキーワードだ。「30年来続いてきたコストカット経済からの変化が起こりつつある」「30年ぶりに新たな経済ステージに移行できる大きなチャンスが巡ってきた」として、日本経済が変革を果たす機会を逃してはいけないと唱えた。

 政権発足以来売りにしてきた「聞く力」は今回も登場。今夏に沖縄、栃木、群馬、福島各県を訪問し、現場の声に耳を傾けたと紹介した。「そこで見たものは、変化の流れをつかむ、日本人の『力』だった」と語り掛けた。

 結びで使った「明日は今日より良くなる」との言い回しは「首相のお気に入り」(周辺)。「歴史的な転換点の中で変化を力にする。職を賭して粉骨砕身取り組む覚悟だ」とまとめた。

 演説は約8600字。岸田政権としては2021年臨時国会の約8800字に次ぐ長さとなった。 

時事通信 2023年10月23日15時52分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023102300500&g=pol